パトロン募集

僕がよく通っているガールズバーに、麗ちゃんと言うお気に入りがいる。
他の女の子たちよりやや年上だが、年相応の魅力がある。頭一つ背が高くて、店の中でもお姉さん的な女性だ。
そして、僕にとっての「推しメン」なのである。
僕は、キャバクラのように体を密着させない分、ストレートに会話の応酬が楽しめるガールズバーの方が好きだ。
そんな中でお酒を飲みながらケラケラと健康的に笑う麗ちゃんは、僕の中では断然だった。
他のギャル系の女の子と子供のようにしゃべっているおっさんたちから離れて、僕は麗ちゃんを独占していた。
そんな折「七夕織姫コンテスト」なんて企画が始まった。七夕の日の週に店の女の子たちが浴衣姿を披露してくるので、そこで人気投票を行う企画だ。
優勝者には、店の一日店長になってもらい、投票してくれた人はご優待されるらしい。
店の方もちゃっかりしていて、お会計に応じて投票券を渡す仕組みなのだそうだ。商売だねえ。
・・・パトロン募集かよ・・・なんて思った。別にナンバーワンを決める必要もないのに、それぞれがそれぞれの推しメンを見つけたらそれでいいではないか。
と思ったのだが、よくよく考えてみるとこれはチャンスだ。
お金がない時に助けてくれる人を見つけてイギリスに語学留学したい
年齢が上な分、投票レースになると、おそらく麗ちゃんには出番がない。もっと若くてぴちぴちしたギャルはいっぱいいるからだ。
そんな中で、僕だけが麗ちゃんに投票する。投票券=僕の愛だ。麗ちゃんは数少ない自分への投票の中に僕を見つける。麗ちゃんのパトロン募集レースにおいて僕が先頭に躍り出るのだ。そして始まる二人の熱い一夜。妄想は果てしなく広がった。
そして、七夕の週。派手なギャル系の浴衣が目立つ中、麗ちゃんは芍薬をあしらったシックな浴衣で大人っぽさをさらに演出していた。さすが麗ちゃん、僕の好みがよくわかっている。僕は、その日、いつもより多く水割りを飲んで、たくさんもらった投票券を全て麗ちゃんに入れたのだった。
そして、開票日。店の中に貼られた投票結果を見て僕は唖然とした。
麗ちゃんがぶっちぎりのトップだったのである。
「みなさん、ありがとうございます。今日は私が店長です。たくさん飲んでいってください!」
麗ちゃんに投票したと思われる男たちが、おー!と声をあげる。僕は店の片隅で、他のお客と楽し気に会話している麗ちゃんを横目で見つつ、皆、実は彼女が美人であることに気付いていたんだな、と思いながら薄い水割りを喉に流し込んだ。